虫の鳴き声とのコントラストが夏の終わりを知らせてくれる

夜になって、真南から静かな風が届いた。風速は0.3から1.1メートル。窓の外、闇の中をゆっくりと流れてくるこの風を、正南風(まはえ)という。真南——まはえ——という読み方の中に、方角のまっすぐさが声に出るようだ。

湿度は高い。でも夜の風は昼の風と違う。同じ気温、同じ湿度でも、太陽が沈んだ後の風は、どことなく優しさを取り戻す。昼間の圧力のような熱風ではなく、ゆっくりと皮膚の上を撫でていく感触がある。不快さよりも、静かさが先に来る。

それでもこの風は夏の風だ。28度を超える夜の空気は、まだ十分に夏の体温を持っている。南から運ばれてくる湿り気は、熱帯の夜を思わせる。

しかし、今夜は虫の声が聞こえた。秋の虫は、いつの間にかそこにいた。鈴虫だろうか、コオロギだろうか、闇の中から細い糸のような声が続いている。湿った夏の夜風と、乾いた秋の虫の声。このコントラストが、この季節の奇妙な美しさだと思う。

どちらが本当の今夜なのかわからない。真南からやってくる夏の風と、その中に鳴り響く秋の声とが、ひとつの夜の空気の中で混在している。夏の終わりとは、こうして静かに、でも確実に、やってくるのだろう。

今日の風に合うもの

  • 虫の声を聞きながら飲む冷たい緑茶
  • 裸足
  • 夜の窓辺

今日の風の豆知識

真南から吹く風を正南風(まはえ)といいます。「まはえ」の「ま」は「真」、「はえ」は南風を意味する古語。方位を示す言葉が風の名に溶け込んでいる、日本語ならではの表現です。

風のデータ

  • 年月日:2024年9月7日
  • 天気:晴れ
  • 風速:0.3〜1.1m/s
  • 気温:28.8℃
  • 方角: